あんこのしっかり詰まったピカレスク映画。
しかし「焼肉ドラゴン」でも思ったが、史実と一致しないことでも映画的に面白ければそれでよく、それが映画の文法なのだが、「歴史」と「記憶」の違いの地層とはそんな風にも積み上がっていくものなのだな、と。「永遠の0」なんかもそういう作用を期した作品だったよなあ、と。語るというのはいつも欲深い営みであることだ。
「記憶」とは国民の物語であり、国民が違えば物語も異なるわけだが、くず鉄がどんどん「盗まれて」いくなあと思うのは自分が日本人だからだろう。「まさかバラック街の消火を後回しにしたりせんだろう」と思うのも自分が日本人だから。そういうところもまた面白い映画体験だった。