赤穂藩の47名の家臣による主君の仇討を綴った忠臣蔵を描いた時代劇。
松田定次が監督を務め、片岡千恵蔵、市川右太衛門、美空ひばり、中村錦之助(萬屋錦之介)、東千代之介、大友柳太朗、大川橋蔵、里見浩太郎、北大路欣也、進藤英太郎ら東映スターを中心に百五十名が出演。
元禄十四年の桜が満開の春、上様ご報徳の日、江戸城中松の廊下において五万三千石の赤穂藩当主・浅野内匠頭(中村錦之助)が、諸式指南役である高家筆頭の吉良上野介(進藤英太郎)に対して人情に及び即日書院の庭で切腹させられる。浅野家は断絶となり、幕府の裁決と吉良上野介に憤りを感じながらも、城代家老・大石内蔵助(片岡千恵蔵)をはじめ赤穂藩士は城を引き渡して去る。秘かに仇討ちを誓う大石内蔵助が、世間の目を欺くために京で放蕩三昧し、元禄十五年冬、赤穂四十七士が雪の舞う中、討入りする…
「余は幸せ者じゃ」
大映の忠臣蔵(1958年)が大ヒットしたのを受けて、東映が総力を挙げて製作し、邦画配収ランキングは第4位となったヒット作。
二部構成になっており、「櫻花の巻」は赤穂城の引き渡しまでを、「菊花の巻」はそれ以降の吉良邸討ち入りを描いている。
3時間の大作で、浅野内匠頭の恥辱から赤穂浪士四十七名による雪辱を果たすまでの一年八ヶ月が丁寧に綴られている。
伊達家の対応、増上寺の畳替、長裃(ながかみしも)と烏帽子大紋、松の廊下の人情、書院の庭での浅野内匠頭の切腹、赤穂城の引き渡し、上杉家の対応、吉良邸討入、永代橋での勝どきなどの名場面が目白押し。
浅野内匠頭が詠った辞世の句が哀愁を誘う。
”風さそふ 花よりも奈ほ われはまた 春のなごりを いかにとやせん”
「月こそ違え 14日は往君の命日」
討ち入り太鼓の音がクライマックスを盛り上げる。
ラストは永代橋での勝どきが心に響く。
「エイ エイ オー! エイ エイ オー! エイ エイ オー!」
2024.12 BS12で鑑賞