このレビューはネタバレを含みます
まず、大前提として、私は、この映画の設定は、ペギー・スーのタイムスリップではなく、意識を失った彼女が見た夢と解釈している。その最大の理由は、彼女がタイムスリップしたと思っていた過去では、過去の彼女の体に現在の彼女が乗り移っている状況、タイムスリップであれば過去の彼女と現在の彼女が同時に存在していないといけない、これである。
ペギー・スーは夢の中で、チャーリーと距離をとり、チャーリーと結婚することにならない別の未来を模索する。しかし、それが結果的に、彼女に、チャーリーの彼女に対する愛を再認識させる。そして、チャーリーもペギー・スーが意識を失い死にかけたことで、彼にとっての彼女のかけがえのなさを思い知る。
ラストシーンで抱擁する2人。カメラが引くと、それは鏡に映る姿。鏡の中の2人は、離婚寸前からもう一度やり直すことにしたところまでの2人、そして、鏡の前の現実の2人は、そこから始まる未来を紡いでいく2人、このように見えた。