語り継がれて存在する殺人鬼。
ヒロインのヘレンがとにかく可哀想。目を負傷し、誘拐犯にされ、友人を殺され、旦那に裏切られ、踏んだり蹴ったり。散々な目に遭ったあと泣きっ面に蜂…。蜂、蜂、蜂。多過ぎるわ。血に染まるより、蜂に埋もれる方が恐怖だった。
鏡よ鏡、呼んじゃって。キャンディマン、キャンディマン、Oh yeah。生身のまま行けるとこまで……。そうそう、ビジュアルは悪くない、悪い意味で。ホラーの世界ではビジュ不発。コート着てシュッとした感じで、なんか妙に生身感があり、かぎ爪で体を切り裂く描写もないので恐怖が薄い。
意識を失って目が覚めると血の海になるので、幻覚を見ているヘレンの凶行なのか、或いはキャンディマンの仕業なのか分からない。召喚したヘレンがなかなか殺されなかったり、召喚していない者が殺されたりして、設定にブレがあった。
人種差別が生んだ悲しき殺人鬼。その男が恐怖となり、噂となり伝説となって語り継がれる。その噂が消えると存在も消えるので、人々の恐怖こそが命となる…。口裂け女は忘れ去られ、SNS時代の今は未来人の予言がネットで溢れている。その予言を誰も信じなければ、やがて未来人の存在も消えるだろう。しかし、いつの時代も拡散するのは幸福よりも恐怖だ。
キャンディマン。
キャンディマン。
キャンディマン。
キャンディマン。
モンゴルマン。
……
ラーメンマン。