古さを感じない速いテンポの面白いサスペンスだった。
本作はケビン・コスナー「追いつめられて」(1987年)のオリジナル。そのリメイクは大昔、淀川長治の解説番組で観た。当時ケビン・コスナーは「アンタッチャブル」(1987年)で先に観てはいたがまだそれしか知らなかった頃だ。また、ブラッド・ピットの映画デビュー作でもあるそうだ。
彼らより先に「ブレードランナー」(1982年)で目についたショーン・ヤングが好きだったけど、すぐ殺される役で残念だった。
あのリメイク版はオリジナルよりさらに一捻りがあって、あれはあれでリメイクとして良いエンディングだったと思う。
というわけで当然オリジナルの本作は大筋を分かって観たのだけど、リメイク以上にとにかくテンポ良く話が展開し、主人公はあれよあれよという間に窮地に陥る。
演じるレイ・ミランドは本作より前にオスカー主演男優賞を獲った「失われた週末」ではアルコール依存症役が見事だったし、後に「刑事コロンボ」では本作とは真逆の落ち着いた頭脳犯役を演じていた。
この主人公は米国流の陽気さなのかもしれないけれど、ちょっと "チャラ男風" なところがあって、殺人の冤罪がかけられそうな状況なのにどこか軽妙さがある。天然なのか、でも危機を次々に乗り越える天才なのか、何とも不思議なキャラだった。
殺人が起きているのに結局、警察がまったく関与しないのもなんだか凄いなぁと思う。DNA検査や防犯カメラを駆使する現代のハイテク捜査とは比べようのない時代背景もあって警察はあてにはならなそうだからか、一般人のやることが何とも大胆。
今回知ったのだが、脚本のジョナサン・ラティマーはミステリー作家としても知られており、大昔に読んだ代表作「処刑6日前」は非常に面白かった。小説はタイトル通りのタイムリミットものだったが、本作のストーリーはそれよりさらにショートタイムでずっとトップギアで疾走している感じだった。