記録用
ヨルゴス・ランティモス監督作品。
ギリシャの裕福な5人家族。塀に囲まれた大きな家には成人に近い子供たちが家から出されずに生活していたが、、、。
家は不気味なほど白く清潔感に包まれてはいるが逆に生活感がなく異様さを放っている。
この汚れたものを排除したイメージ通り家庭内では子供に悪影響を与えないために外界の情報や両親の意思にそぐわない物は存在しない。
原題の「DOG TOOTH」の通り犬を躾けるが如く人権を与えられないように育てられている。精神年齢や表情は子供のようで不気味だ。
むしろ家族として愛情を注げられる犬のほうがよっぽど人間らしく育てられているかもしれない。
大人の犬歯が生え変わったら家から出て自立して良いと躾られてはいるが生物学上ないことなどで永遠に束縛される。
そして犬歯は牙でもある。
監督はインタビューで穢れた世の中や危険なものから隔離した方が良いと考える大人もいるがそれは間違っているということから始まったそうだが現在日本でもコンプライアンスなどでがんじがらめにされ息苦しさを感じるので共感はできる。
この束縛のいわゆる毒親のよる教育への批判の裏返しとして「哀れなるものたち」を制作し体は大人だが頭は子供の女性が外で自由に成長していく物語をえがいたのだろう。
ある意味今作の精神的な続編としても見れるかもしれない。
本作の面白いところは盛りのついた長男のため父親が女性を外から連れてきて相手をさせるのだがその女性がVHSをたまたま持ってきて家に忘れてしまう。
それをこっそり長女が拝借するのだが言及はされないが明らかに「フラッシュダンス」や「ロッキー」、「ジョーズ」を観ることにより学校などでは教わらない何かを得ることにより成長し殻を破っていく。
これ以上のハリウッド映画へのリスペクトとラブコールはないでしょう。
その一連のシーンは完全にコメディなのと物語がアクセルをかけるところも相まって作中のイかれた世界が破壊され最高です。