Jun潤

ピンポンのJun潤のレビュー・感想・評価

ピンポン(2002年製作の映画)
5.0
2024.12.25

ちょっと早いですが2024年の映画納め。
今年は『レザボア・ドッグス』のデジタルリマスター版から始まったので、終わりもやっぱ名作のリバイバル上映でしょうよということで今作にて今年を納めます。

2002年公開、監督は今作が初の映画作品だった曽利文彦、脚本は『木更津キャッツアイ』などの頃の宮藤官九郎、主演はイケイケだった頃の窪塚洋介、若かりし頃まだ芸名のARATAを使用していた井浦新も出演していて、今でもその再現度が話題に上がる中村獅童も出演。
原作は未読ですが一応卓球経験者なので期待値は高め。

神奈川県藤沢市の高校卓球界は、絶対王者海王学園卓球部に所属する風間(ドラゴン)打倒のため、辻堂学園が上海のジュニアチームから孔(チャイナ)を召集し、熾烈を極めようとしていた。
一方、片瀬高校卓球部に所属する、幼馴染同士の星野(ペコ)と月本(スマイル)は、幼少の頃から一緒に卓球を続けていたため高い実力を有していたが、ペコはその実力から態度が不遜になり、スマイルは卓球に固執しておらず、揃って部活をサボってばかりいた。
そして始まるインターハイ予選、スマイルはチャイナと対戦し、あと一歩のところまで追い詰めるが、チャイナの事情を知った途端萎縮してしまい敗北する。
ペコは、ドラゴンと同じ海王学園卓球部に所属する幼馴染の佐久間(アクマ)と試合をするが、地道な努力を重ねてきたアクマに惜敗してしまう。
スマイルはその実力を見込んだ顧問の小泉の元厳しい指導を受け、才能を開花させさらに実力を高めていく。
ペコはアクマに負けたこととスマイルの変化から意気消沈し卓球から離れてしまうが、橋の上から川へと飛び込み、一念発起してタムラ卓球場のオババから指導を受ける。
そして一年後のインターハイ予選、勝ち続けるスマイルを追い、ペコはチャイナやドラゴンら強豪選手との試合に臨む。

井浦新、いやARATAビジュつっっよ!ヤバ!!
今もイケおじなビジュとその独特な演技から僕の心を掴んで離さない俳優さんの一人ですが、当時28歳でキラキラというよりはどこか陰のある神秘的な雰囲気を放っていて、こんな時代もあったのかと改めて好きになりました。
窪塚洋介も、最近では息子の演技力が気になりがちですが、今の息子と二つしか違わないにも関わらず、高い演技力というよりは独特なのに目を惹きつける、まさにカリスマな演技を見せてくれました。
他にも今では学生役の想像なんてつかない中村獅童大倉孝二荒川良々など高い演技力を今とは全く違う役柄で演じている方々や、竹中直人夏木マリらの今とそんなに変わらない役柄で学生たちを見守り導く姿を見れましたね。

やはり今も活躍されている方々がかつて出演した作品を観ると真っ先に今との違いや変わっていない点に目が行きがちですが、内容的にもめちゃくちゃ良かったです。
卓球経験があったから内容がスッと入ってきやすかったのかもしれませんが、そうでなくてもスポーツものの王道的な、ライバルに勝つ!大会で優勝する!を目的にしているというより、ドラゴンやチャイナ、アクマなどのライバルたち、小泉とオババのコーチコンビで周囲を固め、ペコとスマイルそれぞれの卓球に対する情熱と互いに想い合う様子を中心に描いていて、それはそれで邪道な感じもするけど、ちゃんと努力して勝つ!みたいなど真ん中のスポ根ものを見せてくれましたね。

映像的にも、22年前の作品にも関わらず、ラケットのラバーに当たる球やいわゆるゾーン状態の演出に曽利監督メソッドがふんだんに発揮されており、今の作品と比べても全く見劣りしない出来でしたね。
試合シーンについては、同じ卓球ものの『ミックス。』と異なり、回転をかけたり戦型がそれぞれあったりとリアル指向強めで、CGなら全然納得できるものの、時代や役者さん的に練習したものと言われたら妙に納得できるような描写でしたね。

さて、今年の映画はこれにて納めるとして、来年はどんな映画体験が待っているのか、今からとても楽しみです。
Jun潤

Jun潤