本作が表現しようとしたのは、戦後のアメリカ社会で、暴力性が無垢や正義の名のもとに隠されている構造だったのではないだろうか。
主人公の少年は、子どもの純真さを持ちながらも、破壊や暴力に手を染めていく…
「子供時代の悪夢」、それがフィリップ・リドリー監督みずからこの映画につけたキャッチコピーだけれど
確かにあまりに無知で、無力で、内と外からの悪意になす術もない少年期は悪夢のような時代かもしれない
…
自分が暮らしてる世界の狭さにまだ気づけない子供の視点から見る世界の切り取り方の巧みさがすごい。美しさと不穏さだけじゃなく、残酷だけど思わず笑っちゃうような乾いたユーモアの感覚があるところがよかった。…
>>続きを読む主に映像の力により、記憶に刻まれる映画だ。
アメリカのアイダホを舞台としている。広大な麦畑と打ち捨てられたガラクタが散在する寂しい田舎の風情だが、どこかイギリス的な哀愁か漂う。
この場所で、仮に何事…
広大な小麦畑とどこまでも続く空。荒廃した家屋とそこに住む人たち。金色に輝くはずの小麦は淡い黄色で、空も薄い水色。どこを見渡しても生気がない。その少年は「死」に対して無感覚だ。父を包んで燃え上がる炎を…
>>続きを読む構造的で、炎や水といったモチーフが印象的に光る部分部分がおもしろかった。
映像はシュールなくらいわざとらしい部分もありつつ、アメリカの田舎の鬱屈とした輪の中でゆらゆらと危なっかしく育つ少年のお話。
…
〈落穂拾い〉のような壮麗な麦畑だが、そこに暮らす人々はどこか荒んでいる。全体的に虚構感が強いが、他方で最後のドルフィンが殺されるというセスにとっての「不条理」(発狂シーン)には現実感がある。殺人は車…
>>続きを読む