渥美清の代表作「男はつらいよ」はテレビ放映の記憶はあるものの、映画第1作は1969年公開。一方で本作は1968年1月に公開されたため、普段の「男はつらいよ」のイメージとは異なる新作での渥美清を見ることができ、単純に楽しむことができた。
出演者はとても豪華であり、渥美清を中心に、女房役の中村珠緒、先輩上司役の西村晃(水戸黄門で知られる)、小松政夫や佐久間良子など、昭和映画を語る上で欠かせない錚々(そうそう)たる顔ぶれが揃っていた。また、動くピンキー・チックスの姿が映し出されており、ガールズバンドの先駆けともいえる彼女たちの存在は貴重だった。
「(東映)列車シリーズ」はもう少し長く続いてほしかったが、資料を見る限り大人の事情がそれなりに絡んでいたようだ。
新宿の街並み、アナログ仕掛けのパチンコ屋、フーテン族(現代で言うと「東横キッズ」のような存在なのか?)など、当時の流行を知ることができた。また劇中の会話には、現代のコンプライアンス的には問題となりそうな表現(例:トルコ女、痴呆症)が含まれていたが、ピー音で修正されることなくそのまま配信されており、当時の時代背景を学ぶ上で興味深い映像資料となっている。
ノスタルジーを思い起こさせるほど、小生は公開時期に生まれてはいなかったけど、大人の恋愛事情も今と違ってノドカな時代だったのかなぁ。
[東映シアターオンライン]
(2025年1月10日まで期間限定配信)