《"弱キャラ"がカッコいい》
【ユースケ・サンタマリア】
今作で日本アカデミー賞主演男優賞。そこまでかは分からないけど、冷静さと意図的なわざとらしさ、少しの茶目っ気を使い分けてたのが印象的。真下は元々、ユースケ本人に近いキャラで、お調子者かつボソッと言う一言が面白かったりする。ガヤ・チャチャ入れ要員。そこから積み重ねていって、今回のようにカッコいい場面から本来のオドオドした感じまで厚みのあるキャラクターによく育てていったなぁという印象。
いつもの真下は青島やすみれなどの"強キャラ"の無茶振りに振り合わされている受け身キャラだったけど、今回は破天荒な木島を冷静に手玉に取るような対応が楽しかった。
【GOOD】
・雪乃との関係性がかわいい。
・寺島進が演じた木島がいいキャラ。相手が怒ってると優しくなるの好き。こういう人いる 笑。好きな人種。寺島進ってこの作品からオファーされる役の幅が広がった気がする。
・危機感を煽るような音楽が作風と合ってた。
・"クモ"が怖く見えるのは演出の功。VFXに頼りすぎず、特撮が多かったのもリアリティーがあって好印象。
・組織内の団結がゴールに結びつく展開は「踊る」そのもので、同じ楽しさがあった。ただ、そもそも塩対応からの熱烈対応の極端な差は気になる。
【BUT…】
・犯人に関する結末はこの作風には合わない気がする。だったらもっと極端にミステリー調にしてほしかった。ここが1番物足りなかった点。
・パソコンがチート級。交渉の面白さはそんなになく、交渉人というよりググり人。
・色々伏線の出し方があからさますぎる。
【総括】
「踊る」が好きだったら今作も好きになれるような方向性。"弱キャラ"が頑張って主役を張る点にはファンとして魅力を感じた。ただ、物語の強引さや結末には不満もある。元ネタはサミュエル・L・ジャクソンの「交渉人」らしいので、本家が見たくなった。