これはH.G.ウェルズのあまりにも有名な原作をもとにした王道のSFパニック超大作でも、頼りない父親が家族の絆を取り戻す再生のものがたりでもない。
同時多発テロ事件でアメリカがうけたショックとトラウマ、そしてそれを前にした彼らの無力さを真正面から(ややあからさますぎるほど)えがいた快作だ。
とくに前半での、動きのある生き生きとしたカメラワーク、スピルバーグらしい効果的な照明など、たくみな演出はさすがで引き込まれる。
余分なのは、説明過多な最初と最後のナレーションと、役にそぐわないトム・クルーズの余計な存在感くらいだろう。