ALBAのOdyssey

アイアンマン2のALBAのOdysseyのレビュー・感想・評価

アイアンマン2(2010年製作の映画)
3.8
~闘志と焦燥を抱えたスーツの中、次なる脅威と拡がる世界~

「アイアンマン2」は、トニー・スタークが世界にヒーローであることを明かした後の葛藤を描く続編である。政府と軍需産業が彼の技術を狙う一方、父の遺産を巡る秘密や、新たな敵ウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が登場し、トニーは内外からの圧力に晒される。

ロバート・ダウニー・Jrの巧みな演技は健在だが、ストーリーは要素過多でやや散漫な印象を受ける。スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウの参入やサミュエル・L・ジャクソンのニック・フューリー、さらにはウォーマシンの活躍など、MCU世界観の拡大が本作の大きな使命となっており、その分トニー自身のドラマがやや薄まっているようにも感じられる。

おすすめのシーンは、トニーとローディ(ドン・チードル)演じるウォーマシンがコンビを組んで敵を圧倒するクライマックス。金属音を響かせた激戦は、アイアンマンらしいテクノロジー・バトルの醍醐味だ。ちなみに、この作品で整えられた設定が、後に「アベンジャーズ」への伏線として効いてくる。

「アイアンマン2」は、前作ほどの完成度こそないが、MCUという巨大な物語宇宙を広げる重要な役割を果たす。熱心なファンにとっては、この世界がどのように紡がれていくのかを知るために欠かせない一作と言えるだろう。