ここの所「かもめ食堂」「めがね」と小林聡美主演作を観ていて、こちらの作品も同じ超ド級の癒し系の系譜でありつつも、監督は別。
漫画家の桜沢エリカが映画用に書き下ろした原作を大森美香監督が映画化。
日曜日のお昼間に観たんだけど、作品からマイナスイオンが出まくっている為、2回寝落ちして話がわからなくなり、2回巻き戻して観た。
京子(小林聡美)はタイ・チェンマイのゲストハウスで働き、孤児のビー(シッテイチャイ・コンピラ)の面倒を見ていた。京子の娘、さよ(伽奈)は、4年前に自分と祖母を置いて出て行った母へのわだかまりを抱えたまま、チェンマイを訪れる—— 。
「かもめ食堂」「めがね」から多くのスタッフが続けて参加しており、ゲストハウスのオーナーの菊子役にもたいまさこ、従業員の市尾役に加瀬亮がキャスティングされている。
自由奔放に、自分のやりたい事を優先して家族すら日本に置いて出て来た母と、そんな母を自分勝手だと抵抗し、同時に寂しさを抱えたまま大人になりつつある娘。
さよとしては、自分の事は放ったらかしなのに、赤の他人であるタイの少年ビーの世話を焼く母の姿に遣る瀬無さを感じるのも当然。
この親娘の和解が物語の中心に据えられてはいるものの、激しくぶつかり合うのではなく、展開としては穏やかに進む。
何せタイのスローライフに癒される。
無数のランタンを夜空に浮かべるコムローイ祭りの描写が幻想的。
高く高く昇って、
燃え尽きて、
その果ては何もなくなる。
それはまるで魂のよう。
菊子が恐らく亡くなったように見せる終盤の描写も、非現実的にさらりと描いていて印象的。
どれだけあくせく働いても、
どれだけの財産を築いても、
結局、死ねば何もなくなる。
それなら、やりたい時にやりたい事をやった方が良いと悪びれずにさらりと言ってのける京子の生き方は正解かも知れない。
*コメントでもご意見頂きましたが、やはり子供に寂しい思いをさせちゃダメか。