このレビューはネタバレを含みます
この映画は、強い人間と弱い人間の関わり合いを描いたものだと思った。強い人間とは、言い換えれば、自分で進むべき道を決め、周りを巻込んでもそれを突き進み、後悔しない人。弱い人間とは、人に共感し影響され、自分がこうすべきと思ったことを貫けず後悔する人。この映画での、強い人は、マギー、そして、スクラップことエディ。彼らは、自分が進むべき道を自分で見極め、人を巻込んでも突き進み、その結果を受入れ、後悔しない。エディは、試合中、目尻に重大な怪我を負いながら、試合をやめさせようとするカットマン、フランキーに血止めをさせて試合を続行。試合には負け、右目の視力を失う。マギーはフランキーに指導を請う。フランキーは拒むが、マギーの諦めることのない熱意にほだされて、ついには指導することになる。弱い人は、フランキーだ。彼はスクラップの目のことも、頂点を目の前にしたマギーが、試合で致命的な怪我を負ってしまったことも、自分の所為だと思い、その思いを拭えない。彼は、マギーの強い意志に従い、彼女の最後の選択の手伝いをしてしまう。そして、このことも、彼は死ぬまで後悔することになると思う。これは、人の行いの「善い」「悪い」の問題ではない。強いて言うなら、人それぞれの性(さが)なのだろうと思う。エディが言う「最後に、やるだけやったと思うんだ」という台詞が印象的だ。