リブート版『スタートレック』1作目
自らを犠牲に、800人の乗員の命を救った伝説のキャプテンを父に持つ若者ジェームズ・T・カーク。偉大な父親の道を辿ることを決意した彼は、土官候補生としてエンタープライズ号に乗船する。ところが、宇宙へ出航した連邦艦隊の前に、父を亡き者にしたロミュラン人の巨大宇宙艦が現れ、エンタープライズ号をはじめとする艦隊は莫大な被害を受ける。果たしてロミュラン人を倒して大切な人たちを守ることができるのかという物語。
ドラマ、映画と数十年続く歴史のある人気SFシリーズのリブート作品。
ジェームズ・T・カークがエンタープライズ号のキャプテンになるまでの成長を描いた話。
『スタートレック』の旧シリーズは人生で一度も鑑賞したことがなく本作がはじめて。全く過去作を観たことがなくとも楽しめる構成になっていた点が良かった。
カーク船長が愛する妻と子どもの為に命懸けで守るシーンや、副船長のスポックが故郷であるバルカン星で家族を守ろうとする家族愛に溢れる描写が切ないがとても美しく素敵だった。
未来のスポックが開発したブラックホールが過去の自分を苦しめる結果になるとは皮肉なものだ。
過去と未来を行き来できたり、未来から敵がやってきたり、離れた場所へのワープやブラックホール、惑星の探索、ハイテクな宇宙船同士の攻防、無数の時間軸の分岐点やパラレルワールド等といったSF要素が満載で、次に何が起こるのかワクワクしながら鑑賞できるから楽しい。
主人公のカークは喧嘩早く規則も破る問題児だが、いざとなった時には行動力があり頼り甲斐のある熱い男に豹変する。一方、スポックはバルカン人の父と地球人のハーフであり、普段は感情をコントロールし表情にも出さない論理的なタイプ。そんな彼が、母を失い感情的になっているシーンがとても印象深かった。父からは理性を、母からは愛情を受け継いだと言われるシーンが尊い。
個性の強いカークとスポックが対立しぶつかり合いながらかけがえのない相棒へと変わっていく描写が良い。
旧シリーズのスポック役のレナード・ニモイが老スポック役として、若かりし頃の自分を導いていくという粋な演出が最高に良かった。旧シリーズから新シリーズにバトンを渡すというのがめちゃくちゃ熱い。
最初は鼻につく性格が目立つが、話を掘り下げていくと親しみを感じてくるスポックの個性的なキャラが1番好き。
1作目ということでカークやスポックの過去に焦点を当てている点が良かった。
ストーリーは単純明快で迫力のあるアクションシーンや分かりやすい人間ドラマが魅力的でこの世界観に入りこみやすい。この映画シリーズ3作品の中で1作目が1番好きだな。
SFをあまり観たことがない人にもオススメの作品。