ミシンそば

シェルブールの雨傘のミシンそばのレビュー・感想・評価

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)
3.6
全編、全台詞、歌唱(レチタティーヴォ)と言う、かな~り攻めた作りのミュージカル。
実は六年くらい前の、ネトフリに本作が置かれてた時に冒頭だけ観て今回再見したのだが、想像以上にストーリーはしっかりした悲恋(ただ、完全に希望を断つタイプの悲恋でもない)だった。

アルジェリア戦争に徴兵で駆り出されたギィが、結婚を誓い合ったジュヌヴィエーヴとの仲を引き裂かれ、時の流れとともにお互い違う相手と結婚し、子供を得て、大切な人を喪う。
ストーリーはこれが全てで、それ以上の広がりようもないが、衒いがなくシンプルで普遍的。
だからこそ衒いまくりな映画の作りによく馴染んでいる。
無冠に終わったとはいえオスカーにもノミネートされ、今日に至っても世界で愛されている由縁は、間違いなく衒いのなさ、普遍的な悲恋であるがゆえだろう。

ドヌーヴにとってはキャリア初期の作品(歌唱は彼女に限らず主要キャストは全員吹き替え)なので、当然若いし、顔の形はカトリーヌ・ドヌーヴとして完成してるのにどこかガキっぽさも内在している、そんな感じであった。