ジャン黒糖

ガントレットのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

ガントレット(1977年製作の映画)
3.4
あけましておめでとうございます。
今年も素敵な映画に出会えるといいなと思っております。

さて、新年1発目の感想としてイーストウッド監督作『ガントレット』の話に入る前に、一応昨年自分が観た映画の総評をしておこうかと。
(Filmarks以外に、昨年の鑑賞体験をまとめて書く媒体も特にないのでこの感想にて)


昨年は、
鑑賞数=総数128本、うち38本が2024年新作映画。
Filmarksへの投稿数=117本。

鑑賞数は大体100本弱が例年であることを考えると昨年は自分にしてはハイペースに観た方かなと。
ちなみに投稿数には2023年に鑑賞した映画も含まれており、2024年に観た映画のうち25本(うち、新作7本)はまだ未投稿のため、鑑賞ペースに対し投稿が追い付いていない。

自分は一度観た映画でものちに自分が思い出せるようにたっぷり書きがちなのだけれど、とはいえ投稿ペースが鑑賞に追い付いていないことを考えるとmarks!していない鑑賞済み作品が溜まっていく一方なので、今年はもう少し短めにでも感想を書くようにしようかな、と。


次に、昨年鑑賞した38本の新作映画のうち、私的2024年映画ベスト10とFilmarksに付けたスコアがこちら。
※プロフィールから見られるベストムービーも、2024年のベスト映画で更新中!

10位『恋するプリテンダー』★4.0
9位『パスト・ライヴス』※未投稿
8位『ありふれた教室』★4.2
7位『ナミビアの砂漠』★4.2
6位『シビルウォー アメリカ最後の日』★4.2
5位『夜明けのすべて』※未投稿
4位『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』★4.3
3位『インサイドヘッド2』★4.3
2位『陪審員2番』★4.4
1位『哀れなるものたち』★4.5


ベスト10に入っていないところでいうと、『ロボットドリームズ』とかも良かったんだけれど、あれは飛行機内で鑑賞したのがちょっと後悔。
劇場で観ていれば感動はもっと増していたかもしれない。

また、『あんのこと』も自分にとっては主人公の杏を大切にしてあげたくなるような1本だったけれど、7位『ナミビアの砂漠』と同じく河合優実さん主演でベスト10に1本だけ残すのであれば希望ある後者を、と思い1本残した。
なので実質『あんのこと』も気持ち的にはセットでベスト10入りなんです。

そして、河合優実さん同様、グレン・パウエルも『ツイスターズ』『ヒットマン』はどちらも最高だったのだけれど、1本代表して残すなら、ということで『恋するプリテンダー』を選んだ。
『恋するプリテンダー』はいま思い返してもロマコメとして2人の主人公ベンとビーの相性の良さが最高過ぎて、いまだにインスタの海外映画アカウントとかでこの2人のオフショット写真見るとニヤニヤしちゃうくらい、やっぱり大好きな作品だった!
2024年は河合優実さんとグレン・パウエル、この2人の作品を旧作含めよく観たなぁ。

そして「よく観た」といえば阪元裕吾監督作。
4位『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』鑑賞に向けて初めて初期作から一気に観たけれど、近作になるほど娯楽性と商業性のバランスが洗練されていき、どんどんワクワクしていったのが個人的体験としてとても面白かった。

また、その他2024年の個人的映画体験でいうと、9位『パスト・ライヴス』、8位『ありふれた教室』、7位『ナミビアの砂漠』、6位『シビル・ウォー』、4位『ベビわる ナイスデイズ』、3位『インサイドヘッド2』、1位『哀れなるものたち』と、10作品中7作品が女性が主人公の作品で、男女ダブル主演である10位『恋するプリテンダー』のビー、5位『夜明けのすべて』の藤沢さんも含めると、実質2位の『陪審員2番』以外、9作品が話の中心に女性がいるのは2024年のマイベストの特徴かな、と。
旧作に含まれるけれど2024年に鑑賞した『セイント・フランシス(2019)』とかも含め、近年女性を描いた作品が新しい人生観を感じさせてくれるし、単純にフェミニズム的目線抜きに、その新しさこそが映画自体の興味深さに直結していた。

正直、9位『パスト ライブス』8位『ありふれた教室』7位『ナミビアの砂漠』あたりは流動的というか、ここは順不同というか、明日にはランキング変わってる可能性あるぐらい甲乙付け難いほどいずれも好きですね笑

5位『夜明けのすべて』と3位『インサイドヘッド2』は昨年観たなかでも特に自分という存在をギュッと抱きしめたくなるような、肯定感という意味ではグッと来た作品だった。
『夜明けのすべて』は小説を既に読んだ状態で鑑賞したのだけれど、改編箇所がことごとく良く、主演2人の藤沢さん山添くんコンビが最高の一本。
そして『インサイドヘッド2』は父親として家族みんなで観に行き、あのラストシーンに子供の前で(見えないようにそっと)ガバガバ涙流した思い出もあり。笑

2位『陪審員2番』はクリント・イーストウッド監督94歳の恐るべき手練れ具合というか、スケールは大きくないし話も突飛なことはないんだけど、メッセージ性もストーリーもミニマムに見せていく所に昨年1番感嘆した。
そして1位『哀れなるものたち』は昨年逆に最も突飛な物語とラストの凄まじいオチに圧倒され、これを超えるものがなかなかなかった。
昨年「よく観た」でいえばヨルゴス・ランティモス監督作をこのタイミングで初めて一気に観たのも良い映画体験だったし、上に挙げた2024年の自分が良いと思った特徴すべてにおいて凌駕する一作だったと思った。

その他、各作品に関しては各作品の感想で書いた通りというか。
いやー、未投稿の作品も忘れないうちに早く書かないと…。笑


ちなみに2024年観た新作映画のワーストは…個人的にはダントツに『デッドプール&ウルヴァリン』でした…。
これも熱量についてはそのときの感想に書いた通りです。。
『レッドワン』や『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』もそれなりな辛口感想だったけれど、『デッドプール&ウルヴァリン』はその比ではなかった…。

という訳で、2025年はより個人的なツボ映画をより発掘する年にしたいなぁと思っとります。




はい、ということで本作に関係ない長話はここまで。
マイベスト2024年新作映画2位に『陪審員2番』を入れた、クリント・イーストウッドの監督作を引き続き観ていこうと思い、これで監督作5本目。


以前鑑賞した同監督作『アウトロー』でイーストウッドと共演したことをきっかけに交際関係となったソンドラ・ロックを再びヒロインに起用し、1977年に製作されたアクション映画。

【物語】
アリゾナ州フェニックス市警察で長年出世に恵まれずにいた刑事ベン・ショックリーはある日、ブレークロック市警察委員長から事件の証人として出廷予定である売春婦のマリーを護送するよう命じられる。
「お前が優秀だから」と極秘任務を命じられたショックリーは息巻いて彼女のいるラスベガスに向かうが、彼女と出会ってすぐに2人を襲う人物が登場し、単純な任務と思われた仕事も陰謀の絡む一筋縄ではいかない事件が明らかになっていき…。

【感想】
タイトルのガントレットとは昔からある刑罰の一種で、2列に並ぶ兵士の間を受刑者は通り抜けるよう命じられ、通り抜けるまでの間、両側の兵士から罰を受けるサマを言うらしい。

本作でもそのタイトルどおりのことがラストに起きる。
この映画、このラストシーンを含め、ショックリーとマリーを何者かが襲い掛かる場面は基本、過剰な描写が目につく。笑

序盤の2人を追いかける車が落下する際に壊れる工事中の橋、蜂の巣状態に撃ち込まれる家、州境まで来たパトカー、そしてラストのバスによるガントレットシーン。
なぜそこまで壊れるの?という過剰さは若干『ブルース・ブラザーズ』を思い起こしてしまうほどやり過ぎててちょっと笑ってしまった笑


また、各キャラクターの描写も人間臭くて良かった。
途中、ショックリーとマリーの逃避行に巻き込まれるパトロール中の警官は下世話過ぎて最高。
本来はショックリーに脅されている立場のハズなのに、なんでそんなひどいことを余裕で言えるの?とコイツの精神状態の異常さの方がインパクトある笑

そこからのマリーにぐうの音も出ない程言い返される場面とか笑った。
マリーの気の強さと、実は地頭の良い所は魅力的で良かった。
最初はショックリーを罵っていた彼女が、初めて彼を信用し始める場面とか良かった。

また、ショックリーも、マリーに図星を言われ過ぎる中盤の場面は、自分を仕事ができる人間だと心底思ってたところが痛々しく不憫でニヤニヤしてしまった笑

だからこそ、そんな不憫なショックリーが後半では陰謀に対してなんとか一矢報いろうとするのは健気に見えて良かった。


まぁ正直、この映画で描かれる過剰演出は、裏を返せば「なぜそこまでやるの?」と冷静になると引いてしまう場面でもあり、ぶっちゃけあそこまで撃ち込むくらいならちゃんと2人を始末出来たのか確認しろよお前ら、と心の中で何度もツッコミを入れてしまった笑
そのためか、遂に2人の前に現れた黒幕も「そりゃその程度の扱いになるわ」と肩透かしくらってしまった。

ショックリーとマリーは正直恋仲になる必然性が物語上はあまり無いように感じたけれど、そこはプライベートも当時恋仲にあった2人だったから仕方ないのかなと。
なんだろ、嫉妬なのかもしれないけど、本作のイーストウッドの演技、ちょっと安っぽく見えるんよな。渋く無いというか。笑
そもそも、劇中はしっかりした倫理観を見せたりする監督としてのイーストウッドには感心することが多いけれど、当時ソンドラ・ロックとは愛人関係にあった妻子持ちだったことを考えるとやっぱイーストウッドってちょっとどうかしてるプレイボーイだよな、と思わざるを得ない笑
ジャン黒糖

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