くわまんG

男はつらいよ 奮闘篇のくわまんGのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 奮闘篇(1971年製作の映画)
3.0
あらすじ:自分と一緒にいるより幸せな道があるなら、喜んで送り出す。それが男ってもんよ。

「結婚します」という便りが来て歓喜する菊(寅さんの実母)。一方の寅さんは、沼津で路頭に迷う少女に出会ったが、彼女は知的障害者で…というお話。

知的障害者ゆえイノセントなティーン女子を、大人の悪意から遠ざけたまでは良いとして、彼女に対し親切心を通り越して恋愛感情を抱き、丸め込んで自分に添い遂げさせようとした寅さんには、ちょっとヒいた。

脚本的にも、菊とのやりとりとヒロインとのやりとりとの間に全く接点がないため、ドラマの厚みに欠ける。漫談のごとくキレが良いミヤコ蝶々の関西弁で、尺稼ぎしている感まである。

というわけで、今回は寅さんの悪いところ全部出た感じだったけど、良かったのは菊とさくら。やむを得なかったとはいえ手放した引け目から、親として諭す資格が無いと思うに至り、それなら憎まれ役のままでいいから、痛いところをつくという形で息子を良い方向に導こうとする母心は感動的だった。また、寅さんの親代わりとして奮闘し続けるさくらの愛情深さにも心洗われた。本作だけは『さくらはつらいよ』にすればいいと思う。