サムニールが満面の笑みを伴ってのぞき魔として主人公の前に突如現れた瞬間に、何やら立ち上るバイオレンスな雰囲気…(この作品の2年後の『ポゼッション』にサムニールは出演している)。もちろんその予感は外れることはなく、主人公である狂った女(フェミニスト映画として擁護するにしてもラストの決断は無茶苦茶だろう)は枕を使ってサムニールに襲いかかる。ボフッ。ボゴッ。明らかに牧歌的とは程遠い音と速度の反動で跳ね上がる枕と走り回る二人を見て「文芸フェミニズム映画」から程遠い『レイプ25時 暴姦』を思い出してしまった。縦に駆け抜ける廊下、俯瞰で二人を捉えたあと上昇するカメラ、冒頭からの執拗な鏡と横移動に腰を据えていたが、このシークエンスでの的確なカッティングはトラウマのように記憶に残る。