ひろぽん

007/死ぬのは奴らだのひろぽんのレビュー・感想・評価

007/死ぬのは奴らだ(1973年製作の映画)
2.9
『007』8作目
ロジャー・ムーア主演1作目

イギリスの諜報員が立て続けに3名殺されてしまい、その理由を探るため諜報員ジェームズ・ボンドが情報を探っていく。麻薬事件を追うボンドは、麻薬を無料で配り社会の壊滅を図るMr.ビッグという男に行き当たり、彼の陰謀を阻止すべく奮闘する物語。


Paul McCartney & Wingsの『Live And Let Die』で始まるクールなオープニングが、ボンドの世代交代を表現するかの様な雰囲気を感じる。

ニューヨーク、ニューオーリンズ、カリブで3名の諜報員が殺される事件が発生し、その原因を諜報員のジェームズ・ボンドが調査をする。

今回の敵は、カリブ海の島国であるサン・モニーク国の大統領である黒人のDr.カナンガ。表の顔は大統領のDr.カナンガであり、裏の顔はMr.ビックとして暗躍する。無料で麻薬をばら撒き、麻薬中毒者を増やしてから価格を吊るし上げて荒稼ぎしようと悪巧みをする麻薬ビジネスで財を成す黒人街のボス。

ビックの罠に何度もクールにハマっていくボンドの姿は面白かった。カラクリだらけのバーの仕掛けも凝っていて不意をつかれる。ウォッカマティーニではなくバーボンを注文したり、ワルサーPPKではなく44マグナムの銃を使用したりと、これまでの作品と差別化をさせたいような意図も感じられた。

そして、今回のボンドガールはMr.ビックの女であるソリティア。初々しい美少女で処女設定のタロットカード占い師。これまでにない純潔な女性の初恋の相手がボンドというのも何とも言えない気持ちになる。「The Lovers」のトリックを使って運命を演出するのがボンドらしくて好き。

Qの発明品のガジェットは、超強力型磁石付きのROLEXの腕時計とサメ撃退用の圧縮空気団。アイテムを貰ってから早速服のチャックを下げるためにいやらしい使い方をするのはいつものボンドらしい。


飛行機の同時爆発、二階建てバスの橋桁衝突カーチェイス、川を走り陸地を飛び越えるボートチェイス等のアクションは見所が多くとても良かった。そのアクションの中でも、ワニ園でのワニワニパニックでワニの頭の上を飛び越えるシーンはコミカルで面白かった。

人気だったのか今作で登場した可哀想な白人のペパー保安官が次作にも登場する。

Mr.ビックとの戦いで人の体が膨らんで爆発するという演出が斬新だった。超強力な義手を持つティー・ヒーもなかなか個性的なキャラで印象深かった。最後まで執念深くしぶといからボスのMr.ビックとの戦いよりも見応えがあった。

イケおじのショーン・コネリーよりも年上のロジャー・ムーアの方が若々しくボンドに相応しい2枚目の雰囲気だった。今作はブードゥー教やタロットカード占い等の宗教色の強さと、黒人の登場が多かった印象。これまでの作品のシリアスな部分を削ぎ落として、コミカルな仕上がりになっているから、比較的観やすい作品だと思う。
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