記録用
今村昌平監督作品。
原作は深沢七郎の「楢山節考」であり姥捨山伝説を元に作られている。
一度木下恵介監督により映像化されているがこちらもとんでもない名作でありこの印象が強いということもあり日本では最初は過小評価されていた。
今作がより評価を上げたのはカンヌ映画祭での受賞だろう。
1983年はロベールブレッソンの「ラリジャン」やタルコフスキーの「ノスタルジア」、ビクトル・エリセの「エルスール」、スコセッシの「キングオブコメディ」、そして大島渚の「戦場のメリークリスマス」と錚々たる作品群の中でダークホースの今作がグランプリを獲ったことからだろう。
グランプリ候補の「戦場のメリークリスマス」製作陣や日本のテレビが確信し「楢山節考」の東映、スタッフ、監督すら期待しておらずプロデューサーの日下部と主演の坂本すみ子のみが出席する始末であった。
木下恵介監督版がセットでの撮影で神話的寓話的に突出した作品であることに対し敬老訓話は同じにあるにせよ
オールロケで壮大な山々の自然、動物。
そして人間達も自然の一部であるという動物的な性交や生きていくためのある意味人間の本質であるが現代ではありえない倫理観の無いとも取れる行動がより生々しさや可笑しさを生み出しリアリズムを後押ししている。
好みは割れそうではあるが私としたら両方の趣があり二つとも名作である故に無駄な論争であると思える。