倉持リネン

その男、凶暴につきの倉持リネンのレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.3
🎬2024年劇場鑑賞103本目🎬

たけし映画が面白い事なんてみんな言ってるからわかってたんですが、ようやく観ようと思った頃には近所のTSUTAYAは軒並み潰れ、配信にも無く……

そんな中、丁度初監督作品である本作が新文芸坐でかかっていたので「今だ!」と飛び込んだ。


たけし演じる刑事・我妻の一挙一動がとにかく面白く、カットのタイミングも絶妙だ。
冷静に見れば残酷なバイオレンス描写で何度も笑いが起きていたのが印象深い。

演者としてのビートたけしの演技とかを超えた「ニン」のおかしさ(こんな事言うまでもないが)、監督としての北野武のセンスが光りすぎている演出の数々。

刑事と麻薬の売人が衝突する……という無骨で真新しさの無い映画にこんな魅力が存在するのは、ビートたけしと北野武の両名が揃って成せる技だと思った。


この映画を見て何かメッセージの様なものを受け取ったとか、そういう事は一切ない。正直あの暴力合戦を見せられて、何を言いたかったのかは分からない。

それでも、劇場から出たばかりの今、もうまた観たいと思わされているくらいだから、映画体験そのものが最高に面白く心に残ったのだ。
倉持リネン

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