「全力でないものは死すべし!」
血管をめぐる島本和彦のバイブス。男はギザギザつきの吹き出しで喋るのだ!僕の深層意識のど真ん中には、三島由紀夫、梶原一騎、アントニオ猪木ら、昭和の遺物たちが鎮座しているようで、どうしても彼等が退いてくれないもんですから、こういう魂を刺激してくれるおはなしが大好きです。立ち向かえ、没頭しろ、破滅するほどに!そして、勝て!心地いい響きですねぇ。
僕は、いまでこそぼんやりしてしますが、とかくコッチ側の人間なのです。若い頃、男とはかくあるべし、見据えた道に進むべしと、本能に従って生きてしまったせいで人生を棒に振りかけましたが、この飽食の現代日本で野垂れ死ぬってことも難しいらしく、今は大人しくちんたらと生き長らえています。
校長室で、いきなり廃部だーっ!と吠える藤岡弘。がびーん!そして、野球部キャプテンはぐうの音もでない正論にうちひしがれる。勝てもしないクラブ活動など、やらんほうがましだ。なるほど、ごもっとも。そして、堀北真希という正義。本当にかわいいですね。女優のいちばん瑞々しい時間を切り取っています。
ほんと、いいはなしですよ。追い風も向かい風も、瞬間最大風速。それにさらされながら、飛ばされないように歯を食いしばって立つ。それが男。男の魂、充電完了。人生に熱さが消えたなら、逆境ナインをキメたらよろしい。
俺は島本和彦作品の正当な読者。大ゴマ絶叫芸は、僕にとってはギャグじゃない。猛る男のうなり声。映画でも、じゅうぶんに効能があると思われます。逆境だ!立ち向かえ!素晴らしい実写化だったと思います。人生ベスト映画ランキングに、うっかり食い込んできてしまうくらいには。