アーモンドフィッシュ

ドラえもん のび太とアニマル惑星のアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

4.7
また悲しいニュースが届きました。長年ドラえもんの声優を務めていらっしゃった大山のぶ代さんが9月29日に逝去されました。その2ヶ月前にはのび太役の小原乃梨子さんが亡くなられたばかりでした。まるでのび太を心配して追いかけたかのようなタイミングで、本当に二人は親友だったのでしょうね。このような偶然は、お二人の深い絆を物語っているようです。

というわけで、しばらく休止していた私の「ドラえもんリレー」)を、大山のぶ代さんへの追悼の気持ちも込めて再開することにしました。

さて、今回のドラえもんリレーは「アニマル惑星(プラネット)」。これが「雲の王国」並みの社会派作品なんです。プロットは「宇宙開拓史」とそっくり。あちらではのび太の部屋とコーヤコーヤ星が繋がり、こちらでは動物だけの惑星と。でも「宇宙開拓史」と違って、今回の惑星訪問はわずか3回。そのうち最後はニムゲとの戦いだから、実質2回しか遊びに行ってないんですよね。

それと、興味深いのがチッポとのび太の関係なんです。チッポは親しげに接してくれるんですが、どこか距離感があるんですよ。気づきました?最後まで「のび太さん」って”さん”付けで、しかも敬語なんです。この微妙な距離感が、最後の場面でクッキリ出てくるんです。のび太がチッポに黙って地球に帰ろうとするんですよ。見た時、正直「いやいや、のび太くん、それはないでしょ」って思わず突っ込んじゃいました(笑)でも、よく考えると、これって動物たちとのび太たち人間の間にある見えない壁を表してるんじゃないかって思いました

社会的なメッセージは、一見シンプルな「環境を大切に」なんです。でも、よく見ると、違うメッセージも込められてるように思えました。例えば、動物たちの戦い方に注目してみました。これがね、どことなくベトコンを思わせるんです。そこからふと、「もしかして...」って考えちゃったんです。このニムゲ、アメリカを暗示してるんじゃないかって。
そう考えると、この作品の見方がガラッと変わるんですよ。環境保護だけじゃなく、もっと大きな問題にまで触れてるような。ちょっと深読みしすぎかもしれませんけど(笑)

それと、アニマル惑星って科学が進んでるのに飛行機がないんですよね。不思議じゃないですか?もし飛行機があれば、警察が助けに来る前にニムゲの軍隊を追い返せたんじゃないかなって…ああ、また大人の目線で考えちゃいました。私の悪い癖です。でも、こういう風に深読みしちゃうのも、ドラえもんの魅力かもしれません。

そして驚きましたよ。のび太のママが突如、グレタ・トゥーンベリ顔負けの環境運動家に変身するんです。でも、面白いのはその後です。この作品以降、ママにそんな熱心な様子が全く見られないんですよ。これって、かなり飽きっぽい性格を表してるんじゃないでしょうか。考えてみれば、のび太の性格も納得です。あの飽きっぽさ、どこから来てるのかって。そう、ママゆずりだったんですね。「さすがのび太のママ」って感じです。

大山さんの訃報を聞いて、ドラえもんを見るのが怖くなってたんです。きっと泣いちゃうんじゃないかって。でも、実際に見てみたら、意外にも全然平気だったんです。
なぜかって?それは、ドラえもんの声が永遠だってことに気づいたからなんです。大山さんの声は、作品の中でいつまでも生き続けるんですよ。そう思うと、不思議なことに悲しいより嬉しい気持ちになってきました。

大山さん、本当に長い間お疲れ様でした。

何世代もの子供たちの心に、夢と希望を届け続けてくれて..心からありがとうございました。