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マイ・ブルーベリー・ナイツのKAKIPのレビュー・感想・評価

3.5
記録用
ウォン・カーウェイ監督作品。

ウォン・カーウェイらしさを残しつつハリウッドチューニングされた作品。従来ファンには物足りないが新規には入門編としておすすめ!

彼氏に新しい女性を作られてしまい振られてしまうノラ・ジョーンズが主人公。
そして悲しみを紛らわすために入ったカフェで意気投合するのが店長のジュードロウ。
そこで二人は物語の根幹となす話を進める。
一つは題名にもあるブルーベリーパイだ。
ブルーベリーパイの上にバニラアイスを溶かして二つの色が混ざり合っている「ウルトラQ」のオープニングのようなイメージ。
キービジュアルにもなっているようで空やさまざまな反射などでこの混ざり合うビビットな色合いが何度も登場する。
まるで男女、そして人は色々なものが層のように混ざり合い形成しているのを表している。

振られた理由がわからないノラジョーンズはジュードロウに尋ねるが店で他のケーキは売り切れるが不味くはないのに「ブルーベリーパイ」は毎回売れ残る。
理由はなくただ選ばれないだけ。

パイに共感したノラジョーンズは自分を慰めるようにケーキを注文する。
二人でブルーベリーパイを美味しいのになぁ?と食べる良いシーン。

二つ目は「捨てられた鍵」だ。
ジュードロウは客が捨てた鍵を集めているのだがその理由は鍵には様々なドラマがあり捨ててしまうと扉が開いたとしても二度と開かなくなるから。
そして鍵を集めた瓶の底には自分の鍵。

鍵というのは上記のパイと同じで混ざり合いではないが組み合う人間の関係性を表している。より鍵と扉ということで男女の暗喩であるイメージが強い。

そしてノラジョーンズはその後様々な街へ旅立ちいくつかの出会いをするのだがそこで出会う女性達は自由を得たいと思っているがやはりどこかでまるでブルーベリーパイのように溶け合ってしまい無しにすることは過去のしがらみに逃れることはできないでいる。

しかしそれらの出会いから学びジュードロウのカフェに戻りそういった悲しみも含め自分の人生であると乗り越えたノラジョーンズはまさにブルーベリーパイのようにジュードロウとキスするのであった。

何回ブルーベリーパイと言ったかわからないがそれぐらい物語の中心にいるイメージであるのは間違いないだろう。

ロードムービーと恋愛というジャンルすらも混ざり合いストーリーも監督の作品にしてはわかりやすく伝えてくるので大変見やすい。
従来のアドリブ演技や抽象的なストーリーはハリウッド的にNGだったのだろう。

映像としては監督の相棒といっても差し支えないだろう撮影監督のクリストファー・ドイルではないことが原因かもしれないがいつもより単調に見えるのが残念。
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