2025年1発目は景気良く!
新年1発目は和製ミュージカル映画の代表作。出世に目がない高度経済成長期の軽薄でインチキなサラリーマンをフランキー堺、優しく誠実で無欲な後輩サラリーマンを高島忠夫、アメリカ帰りの合理的なサバサバ系、だけど寂しがりやなキャリアウーマンを雪村いづみが演じるベストキャスティング。
「出世ができる!」と高らかに歌い上げられ、ハリウッド仕込みの底抜けに明るいミュージカルシーンと好景気の社会背景が見事にマッチし、唯一無二のゴージャスな煌めきを放つ日本映画史上の傑作となった。
劇中歌「アメリカでは」は緻密な舞台演出と谷川俊太郎によるバチバチのユーモアが光る逸品。和製ミュージカルの最高峰に君臨するシーンだと感じる。ここはあまりに完璧すぎて、曲をリメイクしたピチカート・ファイブやMVでダンスシーンをオマージュした星野源が持っているであろう"これをやりたくてしょうがないができない"という後の世代のコンプレックスの元にもなっているのだろう。
ノンクレジットで植木等が登場するシークエンスではサラリーマンの悲哀が爆発しており、華やかな高度経済成長を支えたあまりに多すぎる"ゾンビ"たちの存在を示唆する。ストーリー自体はハッピーエンドではあるが、この植木等シークエンスがあることで今作はただ高度経済成長期を謳歌しているだけでなく深みをもたせることに成功した。