しちれゆ

泥の河のしちれゆのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.5
名作です。原作は宮本輝の太宰治賞受賞作品。
時は昭和31年、「もう戦後ではない」と言われた時代。川べりの食堂の子 小学2年の信雄がある日 出会ったボロ舟に住む同い年の喜一。のぶちゃん、きっちゃんと呼び合うふたりは信雄の優しい両親に見守られて楽しげに時を過ごすのだが…
信雄を通して描かれる底辺に生きる人間の貧しさと呆気ない死。きっちゃんが小さな蟹を油に浸して次々に燃やす仄暗い心情。きっちゃんの舟は自力では走れない浮かんでいるだけの舟。その舟はやがて曳航されて去っていく。信雄に一言も別れを告げずに。信雄が何処までも舟を追いかけるラストが秀逸。
きっちゃんの母親役 加賀まりこの妖しい美しさも見どころです。
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