僕は『PARTⅡ』(1974)の方が好きだし、上出来だと思っています。
(正編も傑作ですが)
が、
見せ場というのは正編の方が多いかもしれない。
演出も派手だし、
ストーリーにも起伏があったと思います。
一方、
この続編では派手な見せ場は少ない分、
物語の構成を親子二代にわたって時系列を組み替えながら展開している面白さがあります。
若き日のドン・ビト・コルレオーネを演じたロバート・デ・ニーロがとてもよかった。
ニューヨークのチンピラ、チッチオを殺害するために、
屋根を伝って尾行するシーンなど絶品でした。
しかし、
この『PARTⅡ』の本当のクライマックスシーンは、
兄フレドの裏切りに感づいた若きドン、マイケルが、
フレドと熱い抱擁を交わすシーンだったと思います。
兄に対する愛情、絶望、悲哀、憎悪、怒り、いろんな感情が入り混じった表情で抱き合いキスをする。
フレドにとっては死神からのキスなのだが、
そこに赦しを乞う哀れなフレド。
ファミリーを守るために家族を大事にしていき組織を大きくしていった父。
そのファミリーを守るために兄を殺してしまわなければならないマイケル。
ラストの沈痛なマイケルの表情はそのキスシーンがあって一層の説得力を持つことになった。
マイケルはきっと兄を愛していたんだろう。
だから信じたくなかった。
父が築いてきた組織を共に守ってきたという気持ちもあったはずだ。
命を懸けて。
とても哀しいキスシーンでした。
そして、
この作品のテーマをすべて表現した、
映画史に残る卓越したキスシーンでした。