シベリア地方の田舎町でバンド活動をするレニングラード・カウボーイズ。全く売れる気配のない彼らを売り出そうとマネージャーがバンドをアメリカで活動させる。現地のエージェントのいとこの結婚式での演奏を依頼された彼らはアメリカ各地を回りながらメキシコを目指すロードムービー。
フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督作品。彼の作品と言えば「労働者三部作」「敗者三部作」などのリアリティのある社会派な作品が多いイメージ。本作はまたイメージが異なり、音楽バンドのロードムービーでありシュールな笑いのコメディ要素も取り入れたもの。
牧歌的な音楽性のレニングラード・カウボーイズ。そんな彼らがアメリカに移り、現地の音楽に刺激を受けて、ロックンロールを大きく取り入れた音楽へと傾倒していきます。終盤のステッペンウルフの「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」のカバーはかなり盛り上がった場面。
10人ほどの大所帯で全員大胆なリーゼントにつま先が極端にとんがったブーツを履くというインパクト強めな姿。凍ったままのギタリストに、車のトランク開けっ放しでそこに座って移動するシュールさ。大笑いじゃないけど、こういった細かい面白さがある事で集中力が途切れません。
そもそも78分という短さなのであっという間。密度の濃いロードムービー。映画だけでなく実在のバンドで現在も活動中との事。一度機会があれば見てみたいなぁと思った次第です。アキ・カウリスマキ監督の魅力がまた見つかった気がしましたね