2019年の『決算!忠臣蔵』以来、『見える子ちゃん』でやっと新作情報が出てきた中村義洋監督。
自分的に新作を劇場で観たいと思っている監督の1人。
「原作:伊坂幸太郎×監督:中村義洋」作品群のなかでもバツグンに好きなのが本作。
なにより音楽の力が強い。
斉藤和義作曲の『フィッシュストーリー』を本作のキーになるバンド「逆鱗」が熱唱する冒頭のシーンにはしびれた。
1975年、1982年、2009年、2012年…複数の時代に生きた人物たちのドラマは、青春・スリル・アクションなど、それぞれのパートで少なくない緊張感が漂わせながら、多幸感あふれるラストに向けて集約していく。
あの短編小説集をここまで、ひとつの愛すべき作品にできるのか!と驚いたのを覚えている。
登場人物たちがみんな魅力的で、特に1975年パートで「逆鱗」のドラマ担当だった渋川清彦のキャラクターは観た人みんなイイと言うはず。
2009年のシージャックパートは多部未華子、森山未來もさることながら、老夫婦を演じた上田耕一、草村礼子ご両人も軽やかで素晴らしい。
ほら話(フィッシュストーリーの和訳)でも、これだけ満足できれば文句はない。