すずき

サイコ3/怨霊の囁きのすずきのレビュー・感想・評価

サイコ3/怨霊の囁き(1986年製作の映画)
3.5
前作から2ヶ月後。
ノーマン・ベイツは母であるエマ・スプールと暮らしていた。
街の人達は、罪を償い静かに暮らす彼に好意的だった。
そんな彼の前に現れたのは、バイト募集中貼り紙に惹かれたミュージシャン志望のクズ、デューク。
そしてエマ・スプール行方不明事件の犯人はノーマンだと断じる女記者トレイシー。
更に「サイコ」で殺したマリオンの姿によく似た、自殺志願者の元シスター、モーリーン。
ノーマンはモーリーンに心惹かれていく。
だが彼の母は、かつてのマリオンの時のように、彼女に殺意を募らせていく…

案外面白い「サイコ2」の、更に続編。
こちらも意外に面白い。
前作ラストで狂気を復活させたノーマン・ベイツのその後を描く。
シリーズ通じてノーマンを演じたアンソニー・パーキンス自ら監督した作品。

演出がちょっとシャレオツだった。
ダイナーのTVの映像にクローズアップしたかと思えば、いつの間にかベイツ邸に場所が変わっていたり、病室の扉を抜けるとベイツ邸の扉に繋がったり、シーンの切り替わりが自然。
ラストシーンの、トンネルに入り車内の照明が暗くなっていく演出もゾクゾクさせる。
偉大なるヒッチコックのオマージュだけでなく、しっかりとオリジナリティを出した野心作でした。

心の中に巣くった闇から逃げられない恐ろしさ、悲しさを描いたストーリー。
三つ子の魂百まで、とは言うけれど、毒親から虐待された子供の心の傷は一生消えない。
ノーマン・ベイツの心の中には、彼の母親が生き続け、それは最早運命共同体となってしまった。
彼は自由になった、と笑みを浮かべたが、果たして……?