菩薩

テンペストの菩薩のレビュー・感想・評価

テンペスト(1982年製作の映画)
4.0
ご存知シェイクスピアのテンペストであるがシェイクスピアのテンペストではない、これはジョン・カサヴェテスのテンペストであり、カサヴェテス自身がテンペスト(嵐)である。中年の危機ど真ん中を迎えたカサヴェテスが、雷に打たれ(打たれてはないか、家の中でゴロゴロ〜!みたいな)神の啓示を受け(笑)、ある日突然家族も仕事もほっぽり出してギリシャの孤島に引っ込む、凪のお暇ならぬジョンのお暇である。お供には途中で声をかけた綺麗な姉ちゃん、そして何故だか付いて来ちゃった娘、そして元々その島に住み着いている羊と獣姦している(らしい)キチガイ男、そんな4人での奇妙な共同生活が始まり、カサヴェテスは誰が訪れるわけでもない島で誰の為でもなく劇場の建設に勤しむ(これはラストシーンに繋がる)。ちなみにスーザン・サランドン演じる綺麗な姉ちゃんの飼い犬の名前が「ニノ」、要するに故ジャニー喜多川氏のインスピレーションの源泉はここにあり、本来であれば彼等はハワイではなくギリシャでデビューイベントをぶちかますべきであったと思われる(関係ない)。なんせカサヴェテスの妻役がジーナ・ローランズであり、なんともラブストリームスな言い争いは、観ているだけでHAPPYだなって、あっハッピーだなって気持ちになる(出典:あべこうじ)し、何故か角刈り&浴衣姿のカサヴェテスがクソ渋い。映画自体は何故カサヴェテスがムリっ\(^o^)/に至ったのかについての回想と、島でののんびりスローライフ(クソ暇)とを織り交ぜて進んでいき、大してテンペストみがあるわけでも無いが、最後の最後に遂にカサヴェテスは魔法使いへと転生を遂げ(笑)、と言うかもはや完全にA・RA・SHIの一員としてデビューする事となる(嘘)。カサヴェテス&ジーナ・ローランズを擁しておきながら謎のビデオスルー案件であり、日本ではDVDすら出ていない(?)のが全くもって不思議、エンドロールも茶目っけたっぷりで良い、埋もれるには惜しい名作ではないかと思う。
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