のどあめ

飢餓海峡ののどあめのネタバレレビュー・内容・結末

飢餓海峡(1965年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

新年に見る内容でないが、傑作。

『砂の器』もそうだが、「過去」から逃れ去ろうとし、それが叶わず追いつかれるという人間の悲哀。

「貧困」でつながり、唯一の理解者となりえたはずの人間を殺してしまう(殺されてしまう)犬飼と八重のシーンで暗澹たる気持ちになる。
しかし究極的には、犬飼の手で殺されるという展開に一種の安堵があるような表情を八重が見せているようにも見える。

ただこの主役2人だけではなく、弓坂と味村の、操作が合流する展開の上手さや、弓坂という3番目の主人公の存在が、映画の広さや奥行きを生んでいる。

最初は主役ふたりが逃げおおせることに応援し、弓坂には感情移入しないが、八重が殺されてからは、反転し捜査する側へ、そして最後には両方の立場へと感情移入がなされる視点と展開のうまさが際立つ。

ラストはもう、こうするしかないというものではある。
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