80s初頭のアメリカ。複雑な家庭環境により行き場のなくなった荒れた家出少年・少女達。リストラにより職を失ったり、冴えない生活の憂さ晴らしに暴力で押さえつけようとする中年の自警団達。子供達の未来を思い見守りたいが、治安の悪化という実害が出始めているので動かざるをえない警察…
渦巻く男達の暴力的なエネルギーのぶつかり合いの中で犠牲になるのは結局女子供…というのは悲劇的な展開にするためのお約束、というよりはもうなんか必然、という感じで。
(平時にこれ見てたら、まぁお約束だよな〜とも感じると思うんだけど、今のご時世、これがまた妙にリアルに感じてしまうんだよね)
全く同じ筋書きで、現代日本に翻案しても全く不自然にならないと思うなぁ。トー横の子達と、ネット自警団みたいな中年と、良心はあっても役所的な仕事しかできない警察やソーシャルワーカーと…みたいな。
子供達のやってる窃盗や迷惑行為、暴力沙汰は近隣の住民からしたら迷惑行為でしかないのもわかるけど、彼らは親から虐待を受けていたり、貧しい生活をしていたり…と現代社会の犠牲者でもある。
ウザ絡みしてくる中年男性達もまた同じ。みんな色々な事情を抱えて、やりきれなくて、自分より弱い所にそれを向かわせる…
そんな感じで、渋めの社会派ドラマでもあるんだけども、そこに鳴り響く、リアルなあの時代のハードコア・パンクと、着のみ着のままでありながらも抜群にかっこいいファッションと若者達の儚く暴力的な輝きが本当に物語を際立たせていて。
だからと言って、ファッションや音楽としての「パンク」だけを楽しむにはあまりにも暗く重い嫌な現実を突きつけてくるっていう。
Rebelとは?パンクとは?正義とは?
もはや過去の遠い世界の話と割り切って見られる話じゃないんだよなぁ、としんみり。