くわまんG

ラスト・ホリデイのくわまんGのレビュー・感想・評価

ラスト・ホリデイ(2006年製作の映画)
4.5
あらすじ:日々の選択に迷ったら、もうすぐ死ぬと仮定してみて。その決断は貴方の人生に、今までに無かった幸せを与えてくれるから。

デパート販売員の妙齢女性ジョージアには、仕事やプライベートで夢があったが、どれも踏み出せずにいた。そんな折、余命三週間と宣告を受け…というお話。

「もうすぐ死ぬ」と知ったら、これまで大切にしてきた金や地位はゴミと化し、余生でやりたいことは極めて容易に優先順位がつく。大きくなった心は、惜しみなく世界を堪能したり、容赦なく正論を吐けたりして、最終的に愛以外欲しくなくなり、愛のために愛すべき日々を送ろうとする。

演出のおかげでお気楽な観心地だけど、ご都合展開は無し。ジョージアのような生き方の人が誰の目にも魅力的に写り、彼女に救われた人々が彼女を救っていくくだりは、特にリアルかつ感動的。

ハイライトは、大筋とあまり関係ないけど、陰険客室係グンテルの「ご安心を。最期までお側におります。」。鏡の自分を褒めちぎるシーンと共に、号泣した。己の醜さを思い知ったクレイガンの顛末も、誰だって人生やり直せる象徴になっていて良かったし、トリュフとカブのエピソード(持て囃されるトリュフは素材の味を壊しかねないが、見向きもされないカブは調理するほど良い味を出す。)も素敵だった。

新年明けると共に、人生達の新章が幕を開けるエンディングは、ベタに綺麗かつ温か。物語らしく冗談みたいではあるけど、ちゃんと因果応報なエンドロールも微笑ましい。鑑賞時期も相まって最高の締めくくりになった。