記録用
石井裕也監督作品。
辞書制作という地道に年月をかけ航海のような出版社と主人公たちの旅のような物語。
「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」
ある意味全体の主人公とも言える「大渡海」という辞書の由来のセリフだ。
そして辞書がなければ茫漠とした大海原で佇む他はないというように言葉の定義を決めることにより意味の道標を作ることに意義があるのだろう。
作中に「右」を定義するための議論をしたり何気ない言葉も辞書によって導かれたおかげで日常生活で活用できている。
そして窓際族であった主人公の松田龍平演じるマジメ君やオダギリジョー演じる西岡も辞書に道標を啓示されたかのように出版社での仕事の生きる道、そして人生の生きる道を辞書に導かれることとなる。
マジメ君と師匠の先生が若者言葉をリサーチしに仲良くファストフード店でメモしてるのはホッコリすると同時に仕事の時以外でも貪欲に言葉を漁りに行くのを表す良いシーンでした。
しかし時間の制約や原作ではあったであろう登場人物たちの心情や葛藤が削られすぎていて人間味が薄れていることが気になったが結果的にお仕事映画として編集部やヘルプの様々人が色々な素材となり「舟を編む」ところへ帰結したのは単純化され見やすくもなり良かったかもしれない。