ウディ・アレン最初期のタイトルが印象的な佳作。7編からなるオムニバス。媚薬を用いて王妃と関係する芸人。患者が愛する雌羊を略奪し愛し合う医者。あるシチュエーションでのみオーガズムを得る不感症の妻。よその奥さんの洋服が着たい女装趣味の夫。変態趣味を自慢する聖職者。変態性愛を研究するマッドサイエンティスト。デート中の男の脳内から指令を出し性欲を制御する管制室。出来はまちまちだけれど第2話と最終話はこの中で特に面白い。患者の不道徳な性愛を叱っていた立場なのに、雌羊に一目で恋に落ちのめり込み、やがてすっかり患者と同じになってしまう様が可笑しい(第2話)。何となく性欲版「インサイド・ヘッド」のようで、射出される恐怖を励まし合って乗り越えようとしている精子たちの健気さが可愛い(最終話)。いわゆるウディ・アレンらしさはあまり感じないけれど、この中ならこの2話がそれらしい気がする。