【死を考える③】
※ヨルゴス・ランティモス特集③
「キネッタ」で”死”を演じる野心的な作品を撮ったのだが、この「アルプス」では、更に想像の向こう側にある死んだ人が、さも生きていたように演じるという作品にチャレンジしている。
途中「死は始まり」と云ったセリフがあるが、それは終わりと始まりを曖昧にすると同時に、演じるものと演じられるものの境界も曖昧にしていく。
ヨルゴス・ランティモスは人生とは演じることと同義と言っていたらしい。
僕たちは実は理想の自分を自分自身が演じ、常に曖昧なところで生きているのかもしれない。
「キネッタ」のレビューでも書いたが、ギリシャは、キリスト教のひとつギリシャ正教が大勢の国であるものの、もともとはギリシャ神話からわかる通り、多神教の国で、おそらく死や生に対する考え方や理解も他の国とは異なるのかもしれないと改めて考えたりした。