イルーナ

イカボード先生のこわい森の夜/イカボードとトード氏のイルーナのレビュー・感想・評価

3.8
今日はハロウィンということで、ハロウィンらしい題材の映画をチョイス。
『イカボードとトード氏』。もっとも、トード氏の方はクリスマスですが。
(ハロウィンとクリスマスの一石二鳥は『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』っぽいな)


・たのしい川べ

放蕩息子で新しい物好きなトード氏は、自動車という文明の利器に一目惚れし、自分の屋敷と引き換えに手に入れる。
が、それは詐欺で、哀れトード氏は無実の罪で投獄されてしまう。
しかし馬の助けもあって脱獄し、契約書をめぐる一大争奪戦が勃発するのだった!

……タイトルからこの話を想像できた人いる?
まさか裁判とかギャングとの抗争という展開になると思わなかった。
しかも動物たちを擬人化した世界観なのに堂々と人間が出てくる上、体格差もそのまま。当然会話や裁判まで成り立っているのですから、なおさら異様な雰囲気になってます。
トード氏はリアルにいたらもう確実にヤバい奴。
冒頭は馬車をかっ飛ばして周りを破壊しまくるし、自動車を見て目がガンギマリになる演出は正直言って怖い。
何だかんだで彼を心配してくれる友人のアナグマ、ネズミ、モグラがいい奴すぎる……
原作ではそれまでの行いを反省しおとなしくなったそうですが、本作は最後まで変わらないまま。
ですが、新しいもの好きということは流行に聡く冒険心もあるわけだから、一定数惹かれてしまう人がいるんですよね……


・スリーピー・ホロウの伝説

これについてはティム・バートンの映画で知った人も多いんじゃないでしょうか。
ですがこちらは怪談話のイメージから入ると、前半ののどかな雰囲気に驚かされた人も多いんじゃないでしょうか。
こうして見ると『たのしい川べ』の逆パターンか。
それにこちらは殆どセリフ無しで、リアクションだけでも色々と見せてくれます。
イカボードはよそ者ということで嫌がらせされる立場かと思ったら、実は財産目当てで結婚しようとする俗物っぷり。
ヒロインのカトリーナは可愛いけど男を振り回す魔性の女。
むしろ、ぱっと見ではガストンの原型っぽいブロムがまともな方だったという……

そこからホラーパートに入っていくわけですが、ブロムの歌は怖いけど楽しく、そしてやっぱり首なし騎士の登場は圧巻!そしてカッコいい!
しかもそこでもカートゥーンらしくギャグをしっかり入れているというのが抜かりない。
(馬が駆けていく音かと思ったら蒲の穂が枯れ木を叩いている音だったとか、首なし騎士とチェイスしている間に枝にぶつかって乗る馬が入れ替わってしまうなど)
そしてイカボードは逃げ切れたかと思いきや行方不明となり、結局カトリーナはブロムと結婚……という、ディズニーには珍しいバッド寄りの終わり方。
バートンの映画だとブロムぶっ殺されてましたけどね……やっぱこれはジョックへの怨念か?!

ちなみにハロウィンの代名詞と言ったらカボチャですが、それを定着させたのがこの作品らしい……マジか?!
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