色々と端折ったんだろうなという脚本と、やっぱりアレな主演2人はもう今更言うことなんてない。アオハルを連呼するのもきついし、寒い台詞の応酬の割には物語は意外とシリアス気味でバランスが悪くも思える。公開当時はティーンムービーが大量生産されていたのもあり、内容はさておきイケメンと美女さえいれば儲かると世の大人たちが勘違いしていた時代だったのだが、本作はたった一つ強烈に印象に残った場面がある。
確かに東出昌大は棒だ。ところが、まともな人間よりも、どこか抜けていたり、はたまた人外を演じる際は、その高身長による威圧感も相まって不気味さが際立つ。『寝ても覚めても』で画面奥から突然現れるドッペルゲンガーのような登場は強烈だったが、本作では寝ている本田翼をただ真顔で見つめるショットがある。これが非常に気持ち悪く、また目が笑っていないので薄気味悪い。この一瞬に東出昌大をどう扱えばいいのかという問いに対する答えが詰まっている。その後『寄生獣』で本領発揮となるそうだが、その類まれなる不気味さは本作でも随所に表れていたのだ。