五十嵐監督大学三年次の作品で、お金がないけど時間はある、じゃあお金がないことについての映画を作ろう、と実際に制作費2万円で撮られたそうで(トークより)、それでこの面白さなのかとびっくりした。
天野さん、稲葉さん、お互い敬語で言葉を交わし一緒に3年住んでる不思議な2人。冒頭のタイプライターを打ちながらのカーテンの会話からして歪で、なんだこれはと面食らうもあの2人の部屋を覗いてるうちにその間合いにも慣れてくる。
撮影時の照明は豊富ではなかったそうで、その分暗闇と蛍光灯、電話ボックス、自動販売機、暖色系の部屋の明かり、生活の温度が生々しい感じで画面に滲んでた。特に天野さんが夜歯磨きしてる時の部屋が窓に四角く反射して、それがドア?を閉じて一面夜景になるショットがとてもよかった。
ゆるい会話と淡々と重なる日々、だけど稲葉くんが纏う不穏なオーラで妙なサスペンス感がずっとあり、面白い人を撮れば面白い映画になるとの飄々とした監督談になるほどと思った。喰らってしまったスパハピに至るまでの他作も見たい。