みゅうちょび

かごの中の瞳のみゅうちょびのレビュー・感想・評価

かごの中の瞳(2016年製作の映画)
3.4
これは、ある一定の人々に嫌われるタイプの映画。
アート系であることに加えて、視覚障害などで苦しむ人達にとってかなりネガティブな内容とも言えるので、不快感を覚える人も少なくないだろうし…他にも好まれない要素を多分に含んでる。

けど、わたしは好き!
この後安いレンタル落ちDVDを買ってしまった。セル版は1万超えだった…

アイディアがいいし、言わんとしてることも明確。

すっぴんのブレイク・ライヴリーがまた美しくて相手役のジェソン・クラークも絶妙な配役だったと思う。

人は視覚によって欲望に囚われる。

見えることで、見られることを意識するようになったり、見えない時に見えていた優しさとかも、視覚を得ることで違ったものに思えたりする。そして、SEXも見えないことで想像力が増して感覚も鋭くなるのに対して、視覚を得ることでより肉欲的なものへと変貌してしまうのかも。

ブレイク・ライヴリー演じるジーナは子供の頃に事故により失明し、現在の夫の姿も見たことがない。彼女は日々夫に感謝しながら幸せに生きていたけれど、片眼の角膜移植に成功したことで視覚を得るようになる。全てが想像していたものと違う世界。

より見られることを意識した服を着たり、髪をブロンドに染めたり、視覚に囚われ始める彼女はそれまでの生活に満足できなくなっていく。

この映画めちゃくちゃ評価低いんだけど、ある意味でズバッと的を射ているなと感じることもあるんじゃないかなあと思うし、あり得なくもないんじゃないか…

で、夫は、ほんと献身的なんだけれど、もちろん不安も感じ始め…

そして、それが現実に…

タイの独特な街の色とか、ジーナの心の中を表現したようなエロティックな映像とか、美しいけれど、視覚を得たことで不快な物も見えてくるのを映像としてかなりエグく映し出してくる。

映像的にも好みの作品。

ちょっと、フィフティシェイズオブグレイのよりダーティーな感じとも言えるんだけれど、兎にも角にもテーマが一定層には確実に受け入れられないところも評価の低さには繋がってると思うし、後半がよりアート系の流れになって…破滅的だし、最後も…どんな顔して見たらいいのかわからんわ!って感じではある…
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