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空と風と星の詩人 尹東柱(ユンドンジュ)の生涯のsouのレビュー・感想・評価

3.6
戦時中の日本支配下にいる、韓国人学生(詩人)の話。実話。

耐えられるだろうか…?とずっと保留にしていた作品。

やっと見た。
感想めっちゃ長くなってしまいました…


日本が過去に他国を支配し、日本文化を強要した歴史はもちろん知っている。
けれど、深堀りするのが怖くて未だにちゃんと勉強する勇気がでないでいる。

静かで穏やかな声
優しい音楽
美しくも悲しげに紡がれる詩
白黒映像で穏やかに流れる時間
心にじーんと響くシーンも多い。

一方、日本軍人とのシーンでは、やはり胸をえぐられるようで辛かった。

韓国人たちの訴えが間違っているようには思えなかった。もちろん、これは韓国人が作った台本だから、ということもあるだろう。

そうだとしても。
異国人だからと、人を人とみなさないその言動が心に突き刺さって痛かった。

戦犯になった人々。
そして、直接異国人を痛めつけた人々。
どんな気持ちだったんだろう…

自分たちが一番正しいと思う気持ちはわからんでもない。異質なものを怖いと思う気持ちも当然あると思う。やらなければやられる。そのためには自分が与えられた任務をこなさなければならない。
そう思い込み思考を停止させたんだろうか。それとも、通常の精神で人を痛めつけられる人って私が思うよりもたくさんいたのだろうか。それは、今の時代でもそうなんだろうか…

なんのために戦っているのか、目の前の人をなぜ痛めつけるのか、自分自身で考えていた人がどれだけいたのだろう。
その気持ちに耐えられる人、強いてはそれを主張できる強さはどれだけのものだったのだろう。

加害者がいなければ被害者はいない。
もうこんな歴史は繰り返してほしくない。そう強く思った。


ここ何年かで、私にとって韓国はぐっと身近な国となった。
それまでは、外国人というとどこか自分とは「違う人たち」という意識があったのが事実。だけど、今では日本エンタメよりも韓国エンタメに詳しいくらいで、韓国語も聞き取れるようになった。推しも韓国人。
最近は「韓国人」としてではなく、その人一個人としての考え方や生き方に興味がわくようになり、外国人に対する垣根がとても低くなったように感じる。文化や言葉の違いがあったとしても、人と人なのだから、考えてみれば当たり前だ。でも、それを実感としてもてるようになり、自分の中でひとつ大きな変化かなと思う。
その一方で、韓国人が自国の文化や言語、習慣に対する愛を見る機会が増えた。
日本にだけ留まっていると、比較対象がないから日本を意識することもほとんどなかったが、自分の中に無意識に存在している日本について、目を向けるようにもなったような気がする。

幾重もの時を経て築き上げられ、皆が無意識になじみ、そして大事にしている文化。それには、決して優劣はないし、強要されるようなものではない。

もう歴史は繰り返してほしくない。

激動の時代に生まれ、自分の誇りを大事に、強く闘った人たちの話だった。
だけど、ある意味特別ではなくて、自国やその文化を愛し、それを守るために強くあろうとした人たちの話だった。
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