死者しか愛せない、死者しか敬うことが出来ないという感覚がどうしても理解できなくて、トリュフォーの中でも個人的に取り扱いかねる映画。死者はちょっと前まで、この主人公が疎ましがっていた生きている者と地続きにいて、祭壇に飾るに値しないかもしれない。実際に生前に嫌いだった人物は、死んでも蝋燭を立てず弔わないのは、彼の中では死んでいないからだ。この曖昧な死。死者というのは、物質的な遺物や、生きている者の心の中にしかいない。生きていた証が朽ちて、その人を知っていた者も死に絶えたら、もうそんな人がこの世にいたことなんて誰も知りはしない。
アルメンドロスは言うまでもなく、素晴らしいに決まっている。