金と金玉を巡る2組の兄弟、と言っても片方は擬似兄妹であるが、金と金玉にはいつだって搾取の話が付き纏ってくるし、なんせ日本統治下の厳しい時代の物語。鉱山労働に精を出してもその大半は搾取され、労働者達が違う意味で精を出す娼館においてもその構造はまるで変わらない。金の持ち出しは当然禁止されているからとケツ穴に捩じ込む、それすらもバレてケツ穴をほじくられながら「人間だぞ」と叫ぶ労働者達、同じく疑いをかけられた女郎達もあれやこれやとほじくられ、少女は痛々しくも破瓜させられる。憎しみの目は経営者に向けられ、柳瀬二郎そっくりな青年の怒りの鉄槌が振り下ろされる。厳しい中にも育まれていく愛があり、儚くも散る命がある。生き残った2人はついに結ばれるのだが、せっかく感動的なラストなのに初手から谷村新司ばりに乳に手が伸びるのはちょっとお下品ではないか…。群像劇だから致し方無いが流石にちと長い、それを重厚と捉えるのであれば否定は出来ないし、力のこもった作品である事は確かである。