Gorosuke

シネマ歌舞伎 怪談 牡丹燈籠のGorosukeのレビュー・感想・評価

4.0
ヒュ〜 ドロドロドロドロ…
あの有名な幽霊との逢瀬の話はほんの一部で、実は長大な恨み辛みの、だけど笑いもおかしみもたくさんの人情噺でした。

お露は本当はもじもじしてウブで可愛らしい幽霊なんですね。怨霊というより成仏できない感じ。
本当に恐ろしいのはその幽霊を生むような欲に目が暗んだ大人たち。生来 性根の悪いやつもいれば、小心者、貧乏、妬み嫉み。我欲は本当にふつうの人でもあっさり悪に染めますね。結果、因果応報、誰も幸せにはならないという無残な話の連鎖、怪談。

伴蔵とお峰を演じる仁左衛門と玉三郎は、慎ましい夫婦の時から最後の時まで、人情の機微の描写が見事でした。落語より実演が勝っているところだと思います。

2時間半の演目でしたが実は原作は落語で全編やるとすると30時間以上かかるという大長編作品。やりきった演目があるのか残っているのか知らないが、三遊亭圓朝25歳の作品、知れば知るほど興味は尽きない。

朗読https://youtu.be/7RvXSlmD8aU?si=ljgXNWrkLuiIFVo3



🌙月イチ シネマ歌舞伎
このシリーズはやっぱり楽しい。客層も劇場の雰囲気も好き。次回年明けは「ぢいさんばあさん」。一番楽しみにしている。
Gorosuke

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