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きみの鳥はうたえるのtigerpantsのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.9
函館の書店で働き怠惰な日々を過ごしていた「僕」(柄本佑)が、ふとしたきっかけで同僚の佐知子(石橋静河)と男女の仲に……。そして、佐知子が連日通い詰めた「僕」のアパートには、プータローの静雄(染谷将太)が同居していた。3人は夏の間、毎晩のように酒を飲み、クラブで踊り、ひたすら遊び倒した。やがて夏の終わりが近づき、佐知子と静雄の間に漂い始めた〝気配〟を察知した「僕」は、いったんは2人の仲を祝福しようとするのだが……。

(先日レビューで取り上げた)『火口のふたり』の前年に公開され、こちらもまた、主役の柄本佑がひたすら女性にモテまくる話……なのだが、結末はso bitter...。

筋書きだけ抜き出すと「だらしない若者男女のだらしのない日常風景」それ以下でも以上でもなくなってしまうのだが、ヒロイン石橋静河の佇まいがじつに素晴らしく、それだけで(まるでいにしえのフランス映画のような)端正な青春ドラマが成立してしまう(柄本も、さらには染谷も、じつにいい仕事をしているのだが、石橋静河が群を抜いていい)。

さらには何気ない地方都市=函館の街並み……早朝から深夜に至る景色や風景の数々が、ドラマに華を添える。何でもなさげなストーリーに魔法をかける、三宅唱監督の手腕が冴えまくっていた!
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