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ジョーカーのmorioのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.5
JOKERやっと観れました!🤡🤡🤡
ホアキン繋がりで鑑賞。「her」からの今作だったため、あのナイーブで心優しい彼が拳銃をパンパン撃っている姿はかなりギャップがありましたー😅でもやっぱりすごい役者!一気にファンになりました!

さて、作品について。

彼が、幼少期の虐待が原因で、笑いの発作が起きるようになったのは、神様が彼に世の中を明るくする使命を与え、コメディアンになることが運命づけられていたように僕は受け取めました。モダン・タイムスでのチャップリンのように「どんなにつらくても微笑めば乗り越えられる」と。。

なので、彼の発作が出る度に、人々から好奇の目で見られ、世の中を明るくするどころか、彼自身が追い込まれて行ってしまった事は、皮肉というには余りにひどい仕打ちだと思いましたし、彼の悲劇的な人生の宿命にも感じました。

この映画の完成度は、皆さんが軒並み高評価をつけられているように、ホアキンの演技を始め、構図のとり方、色彩設定など全てにおいて素晴らしいものでした。その中でもとくに上手いなぁと思ったのは音楽ですね。彼の過酷な運命を表現するようなチェロの低い調べや、ラストシーンで流れる「That’s Life」を使う演出には、歌詞を含めて唸らされました。

また、この映画は作品としてどう捉えたら良いのか。
とても迷いましたね😧😧😧

鑑賞後、強い衝撃を受けたし、作品としてはとても面白かった。僕が迷ったのは彼の暴力性。彼の生い立ちを含め辿ってきた過酷な運命を思うと、偶然なる殺人から怒りを爆発させ暴力に振り切っていく流れは理解できるのです。ただし、正当防衛ではなく、彼の個人的な鬱屈した心情からの殺人は、彼のエゴだと捉えることも出来るから。

個人的な話になりますが、僕が高校二年生の夏休み、当時所属していたバスケ部では毎年夏に合宿を行っていました。その合宿の二日目の夜。僕はなかなか寝付けずにウトウトとしていた時に、少し離れたところから3~4人のひそひそ話が聞こえてきました。その内容は僕の話題で、僕のパーソナルな性格や言動を揶揄するもので、僕は酷く尊厳を損なわれたと感じました。今にも大声をあげて飛び掛かってしまいそうな自分を抑え、怒りに震えながら布団をかぶったことを、今でも克明に覚えています。

その時、僕の心の右手には拳銃が握られていたと思う。

当然、殺意なんて無かったのだけど、その時の爆発的な怒りは拳銃に匹敵したと思うし、アーサーの右手には偶然手に入れた拳銃があったという事。よって、彼がJOKERになってしまったこともそう、今の世の中で起きてしまう無差別殺人のような事件も、どの人にも可能性としては起こり得ることなんじゃないかと、個人的には思うのです。

全てに裏切られ絶望の縁に落ちた彼が、朝日を浴びながらジョーカーとして目覚めるシーンには、不謹慎ながら共感に近い感情を覚えてしまいましたし、この作品の感想として、彼がダークサイドに落ちるのは彼の弱さだよ、とは言い切れない自分がいますね。


いやー映画って深いですね🙂🎬
今回はかなりシリアスなレビューになってしまいましたが、様々な角度から物事や人の感情を考えることができるし、人間的にも成長させてもらえる、人生の貴重な教科書だと改めて思いました。
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