ミサキ

王国(あるいはその家について)のミサキのレビュー・感想・評価

5.0
いや、よくこんなの作ったな…。
全く万人に勧められませんが、実験的試みとしてかなり面白い。
ワークショップが好きな人、演技に興味がある人は楽しく観られるかも。

説明が難しいのですが、役者の本読みからリハを延々と観させられます。
時には同じ部分を、何度も何度も。
場面の順も、脚本の時系列関係なくランダム。
静かで長い(150分)ので、さすがに何度か眠くなる。

いい加減飽きてきた頃、主役のパーソナリティが自分にシンクロするかのように流れ込んできて驚いた。
役者がリハを繰り返して役を馴染ませていくプロセスを観続けたことで、観客である自分も役に入るような錯覚に陥る。

詳細の言及は避けますが、主役はある種の狂気を孕んでいて、その行動は全く容認できない。
にも関わらず、役に入った観客は、主役の論理に納得してしまいそうになる。
それがかなり怖い。

「映画を観る」というよりは「映画で体験する」という感じか。
いや、ホントによくこんなもの作ったなあ…。
ミサキ

ミサキ