もはや巨匠監督の域に入った我らがドゥ兄。
ついにこのSF古典の監督を務めるとは。
「正にスペクタクル!」という作品なのは分かっていたけど、公開当時は余裕が無くて映画館で観ることができなかった。
これは絶対最高の環境で観るべきだわ。
ドゥ兄の作風といえば重厚で深淵。
そしてリアリティへの拘り。
私は原作を知らないけど、彼のこの作家性はこの物語の壮大さを受け止められていたのかなと思う。
(意地悪な見方で言うと、彼の何やら重たい雰囲気で「それっぽく観せられている」と言えなくもない)
グリーンバックに頼らず、出来る限り実写に拘っているかと思えば、肝となるSF描写はCG技術をふんだんに使用する。
ここら辺のバランスが絶妙。
そしてとにかく本作はキャスティングが秀逸。
主要キャラの全てがとても印象に残る。
T.シャラメは未熟ながら救世主の片鱗を垣間見せる不安定な役回りをとても上手く表現している。
何よりもR.ファーガソンの存在感が素晴らしい。
芯の強さと女性らしい優しさを併せ持つ正にベストアクト。
ホドロフスキーじいちゃんは多分本作を観て悔しがってるんだろうな。
ホドロフスキーと言えば彼はリンチ版を酷評して喜んでいたが、確かにリンチ版はかなり駆け足で原作の物語を描いていた。
その点では本作はかなりじっくりとデューンの世界観を作りながら進んでいく。
これは続編前提だからなんだろうと思うが、この辺のスピード感覚は評価が分かれる所。
ハッキリ言ってマッタリし過ぎて眠気を感じる箇所は幾つかあった。
次作に挑む際にはまず事前に睡眠を十分に取り、映画館の大スクリーンで観ることにしよう。